上の子がりんご病に．．．
そんな妊婦さんに知っておいてほしいこと

「上の子がりんご病になってしまいました。」、「上の子の保育園でりんご病が流行ってるみたいです。」産科だとそんな相談を受けることも少なくありません。りんご病（正式名：伝染性紅斑）について調べると胎児水腫や胎児死亡など心配な言葉ばかり出てきます。今回は周囲にりんご病の人がいる、また自分がかかったかもしれないという妊婦さんとそのご家族のために、りんご病のことについて少しお話しします。

りんご病が胎児に与える影響とは．．．

りんご病（正式名：伝染性紅斑）の原因はヒトパルボウイルスB19というウイルスです。子供では発熱やりんご病に特徴的な頬の紅斑がみられますが、成人では感染が成立しても無症状であることが多いです。
日本ではほぼ5年ごとに感染の流行が見られ、1回の流行は1～2年続きます。最近では去年から今年にかけて流行しています。感染経路は咳やくしゃみによる飛沫感染と握手や抱っこなどでウイルスに直接ふれる接触感染です。妊娠可能年齢女性の抗体保有率は約50％であると推定されています。
妊婦がパルボウイルスに感染すると、その17-33％が胎盤を通して胎児感染を生じ、感染した胎児の約10％が、貧血、心不全、胎児水腫をきたし、まれに胎児死亡に至る場合があります。胎児水腫に至る期間は、ほとんどが母体感染から8週以内であり、8週をこえれば胎児水腫に至る可能性は低くなります。

いろいろお話ししましたが、現状パルボウイルス感染に対してのワクチンや治療薬はないので、流行下では手洗いやマスク着用等の標準的な感染予防が重要です。かかってしまったかもと心配な場合はかかりつけの産院に相談し、医師の判断の下、採血により抗体の有無を調べ、慎重に観察することが大切です。
過度な心配はせず、まずは医師に相談してみてくださいね。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
検査課　鈴木

参考資料　産婦人科診療ガイドライン　産科編2023