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母子日赤だより

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ちょっとだけ日光浴をしてみませんか。

頭蓋癆(ずがいろう)という言葉をご存じですか。赤ちゃんの頭の骨が部分的に薄く柔らかくなっていることを指します。指で押すとペコペコとピンポン球のように凹むのを感じます。正期産で生まれた赤ちゃんの20~30%にみられ、多くは生後2~3ヶ月で自然に改善しますが、一部はビタミンD不足と関連し、内服治療が必要になることがあります。

ビタミンDは骨・カルシウム代謝に重要な栄養素で、魚類や卵(卵黄)、きのこ類に多く含まれます。ビタミンDは食事から摂取される他に、日光を浴びることにより皮膚で合成されることが知られています。ビタミンD不足は日照時間の短い北欧や皮膚を隠す習慣のある民族以外ではまれであると考えられていましたが、近年ライフスタイルの変化により先進諸国においても決してまれではないことが報告されています。

日本でも妊婦さんのビタミンD不足が問題視されています。以前に比べて欧米型の食生活となり魚を食べる習慣が減ったこと、新型コロナウイルスの流行により屋外に出る機会が減ったこと、過度な紫外線対策をする女性が増えたことで、ビタミンDの摂取量や合成量が減少していると言われています。妊婦さんが慢性的なビタミンD不足になると、早産や妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、赤ちゃんの頭蓋癆のリスクが高まります。

赤ちゃんとお母さんの健康のため、ビタミンDを多く含む食品の摂取や適度な日光浴(日焼け止めを塗らずに10分程度屋外にでるだけでも効果があります)を少しだけ意識していただければと思います。

小児科医師 岩田