切迫流産・切迫早産とは
日本では妊娠22週から妊娠37週までの出産を早産といいます。切迫早産は、おなかが頻繁に張ったり、子宮口が開き始めて赤ちゃんがでてきそうだったり、破水をしてしまったり等と早産になりかかっている状態のことをいいます。また妊娠22週未満の出産は流産として扱い、流産になりかかっている状態は切迫流産といいます。
流産や早産は始まってしまうと止められませんが、切迫流産・切迫早産は治療により妊娠を継続できる可能性があるので、赤ちゃんのために早めに発見して治療を開始することが大事です。
流産や早産は始まってしまうと止められませんが、切迫流産・切迫早産は治療により妊娠を継続できる可能性があるので、赤ちゃんのために早めに発見して治療を開始することが大事です。
なぜ早産になってしまうの?
はっきりとした原因はわかりませんが、次のことが挙げられます。
子宮筋腫や子宮奇形など子宮そのものに異常がある場合
- お母さんの原因
子宮筋腫や子宮奇形など子宮そのものに異常がある場合
- 赤ちゃんの原因
- 仕事や家事の疲れで子宮収縮が起こりやすくなったり過度のショックや不安によるストレスからなることもあります
切迫早産を防ぐためには
- 過労やストレス、冷えなどを避け、日頃から無理のない生活を心がけましょう。
- 妊婦健診をきちんと受診し、医師の指導には必ず従うようにしましょう。
- おなかの張りや出血、生理痛のような痛みなど、いつもと何か違うなと感じたらすぐに医師に相談しましょう。
切迫早産になってしまったら・・・
- 子宮の収縮を抑えるためには、安静にして体を休ませることが第一です。
- 子宮収縮を抑える目的で子宮収縮抑制剤を使用します。内服薬と注射薬があります。
- 心臓病、高血圧、糖尿病などの治療をうけている方は、必ず医師に申し出てください。
- 細菌による膣内感染を除去するために抗菌薬を使用することがあります。
- 妊娠32週より前に破水した場合には、赤ちゃんが自分で呼吸できる状態になるまで抗菌薬を投与して感染を抑えます。
どんな薬?
- 子宮の収縮を抑える薬です。
おなかの張りや下腹部の痛みをとり子宮の状態を正常に保って流産や早産の進行を抑えます。
妊娠16週以降37週未満の方に使用します。 - 比較的軽い症状のときにはウテメリン錠を使用します。
安静にすることが大事ですので、お薬をのんだ後は30分くらい横になって休みましょう。服用を忘れたときには、次の服用まで4時間以上あればすぐに服用します。あまり時間がないとき(3時間以内のとき)には忘れた分は服用しません。 - 緊急性のあるときには入院して注射薬(ウテメリン注)で治療します。
点滴として子宮の収縮が治まるまで続けますが、収縮状況などをみながら適宜、点滴の量を調節していきます。
副作用
ウテメリンは子宮に選択的に作用するお薬です。しかし交感神経を刺激することによって副交感神経を抑制する薬なので、人によっては心悸亢進(動悸:心臓がドキドキする、脈が速くなったりする)や手が震える、顔が赤くなる、吐き気などの症状が出る場合があります。これらの症状は薬の使い始めにみられることが多く、さほど強くなければ服用を続けることが一般的です。2~3日して体が薬に慣れてくると落ち着きます。心臓がドキドキする時には、食事のすぐ後に服用したり、体の左側を下にして横になって安静にすることで、副作用の出方が少なくなったとの報告があります。このような症状がひどい時や不安な時には、医師や薬剤師、看護スタッフに相談してください。
きわめてまれなケースですが、次のような症状が起こったときには重大な副作用のはじまりである場合があるので、服用を止めてすぐに医師に連絡してください。
・筋肉が痛む、力がぬける、尿が赤褐色になる⇒ 横紋筋融解症
・倦怠感、歯茎から出血する、あざができる⇒ 汎血球減少
・とても喉が渇く、水分をとても摂りたくなる、おしっこの量が多くなる⇒ 高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス
きわめてまれなケースですが、次のような症状が起こったときには重大な副作用のはじまりである場合があるので、服用を止めてすぐに医師に連絡してください。
・筋肉が痛む、力がぬける、尿が赤褐色になる⇒ 横紋筋融解症
・倦怠感、歯茎から出血する、あざができる⇒ 汎血球減少
・とても喉が渇く、水分をとても摂りたくなる、おしっこの量が多くなる⇒ 高血糖、糖尿病性ケトアシドーシス
ウテメリンによる赤ちゃんへの影響を心配する人もいますが、早産も赤ちゃんにとっては影響があります。そのため妊娠の継続による有益性が投与のリスクより上回るかを慎重に判断しながら使用します。
日本産婦人科学会では、子宮収縮抑制薬であるウテメリン注(塩酸リトドリン)やマグセント注(硫酸マグネシウム)の使用については、できるだけ短期間にする方向に向かっています。
日本産婦人科学会では、子宮収縮抑制薬であるウテメリン注(塩酸リトドリン)やマグセント注(硫酸マグネシウム)の使用については、できるだけ短期間にする方向に向かっています。
薬剤部 五十嵐