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ホーム  > 院長ブログ  > 「種痘は春の季語」

「種痘は春の季語」

注射して泣き声元気春隣

俳句教室で先生に選んでいただいた私の句です。「これは予防接種ですね。」1歳のお孫さんがいる先生は最近種類が増えている予防接種に関心があって時々私に質問されることがあります。先生は教室の私たちに「皆さん、種痘が春の季語だったということをご存知でしょうか?」と続けられました。皆各々歳時記を引きましたが出ていません。種痘は1976年に中止され1980年に廃止されました。そのため古い歳時記には季語として掲載されていた「種痘」が新しい歳時記から消えたのです。

ここで種痘のお話を少し。種痘はジェンナーが発明した天然痘のワクチンで有名です。天然痘という病気は強い伝染力を持つ天然痘ウイルスにより大昔から幾度となく大流行があり致命率も高く、また治っても発疹の痕が顔に醜く残ります。幕末の孝明天皇の死因もこの天然痘と言われています。日本にこの種痘が入ってきたのは江戸の終わり。そして日本での天然痘は1956年以降発生していません。逆に種痘による脳炎発生とその死亡率の高さが問題となり1976年種痘の定期接種は事実上中止されました。さらに1980年WHOは天然痘の世界根絶宣言を行い、同じ年日本では法律的にも種痘が廃止されました。

では「なぜ種痘は春の季語なのか」ですが、現在の様々な予防接種のテキストを見てもすでに廃止になっている種痘について接種年齢・時期などの細かな記載はありません。昔のテキストには書いてあると思いますが、そこまで調べきれませんでした。そこで自分の母子手帳を見てみました。種痘の接種時期は1期が生後2~12ヵ月、2期が小学校入学前6ヵ月と印刷され、私は1期の接種を昭和31年4月19日に受け5月1日に検診して「成績(完)」と記入されていました。これは種痘の跡がしっかりと付いていたということだと思います。2期は記載がなかったのですが母子手帳に種痘の領収証書が挟まっていました。領収印の日付けは昭和37年2月22日でまさしく小学校入学前の6ヵ月で季節は早春です。余談ですがこの領収証書に書かれていた種痘のお値段は10円でした。

種痘日の教師を淡く記憶せり 藤田湘子

種痘が春の季語として考えるとこの句から小学校入学を間近にして種痘の2期は小学校の教室が接種会場となり、これから担任になるであろう先生に会ったと想像できます。
では今は季節と結びつく予防接種があるかといいますと、集団接種の生ワクチンのポリオです。これは春(4~5月)と秋(10~11月)に行われておりますが2つの季節なので季語にはならないです。早ければ今年の秋に不活化ワクチンのポリオが出てきます。これは注射で季節を問わずオールシーズンですので、たとえ生ワクチンのポリオが季語であったとしても消える運命にあったのは間違いありません。
さて種痘の跡は二の腕に残ります。この跡があるかないかで年齢がわかる、年齢のさばを読んでいても腕を見れば一目瞭然です。種痘の跡があれば少なくとも36歳以上です。