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卒業式に出席しました。

日本赤十字社助産師学校をご卒業なさる皆様、本日はおめでとうございます。
厳しい勉学と実習の日々を乗り越えてこの日を迎えられたことと存じます。皆様のご努力は言うまでもないですが、ここに至るまでの道のりを温かくあふれる愛情で指導し支えてこられました先生方、ご父兄の皆様に取りましても大きな喜びの日を迎えられたことと拝察申し上げます。誠におめでとうございます。

来賓を代表して一言祝辞を述べさせていただきます。
私から皆さんへの希望はぜひすべての赤ちゃんとおかあさんを平等に笑顔で迎える助産師になっていただきたいことです。
暗く狭い産道を通り抜けて胎児から新生児になるその瞬間、最初に出会うのが助産師さんです。この世で最初に出会う人ですから赤ちゃんにとってはとても重要です。私が出産した時は担当の助産師さんはとても美人でした。息子にとってはこの世で最初に出会った人がとても美しい人だったことは大変幸せなことだと思っております。だからと言って皆さんに美人になってほしいのでこの卒業式が終わったらすぐに整形して下さいと申し上げているわけではありません。

皆さんは今人生の中でどんどん美しくなる時期を迎えています。私の病院では毎年春に20人余りの新人助産師・看護師を迎えますが、入職時は皆、かわいいですがぽやんとしています。それが助産師として・看護師としてミッションを持ちプロとして磨かれていくときらきらと輝きだしどんどんきれいになっていくのを私は見ております。ですから今美人でなくても大丈夫です。もちろん高須クニリックに行く必要はありません。
死は等しく皆に訪れます。では誕生はというと誕生は皆等しいものとお話する人はいません。これは誰でも知っていることです。人は生まれながらにして不平等です。アナン前国連事務総長が2001年にノーベル平和賞を受賞した時の記念講演は次のようなものでした。「今日もまた、アフガニスタンで一人の女の子が生まれるでしょう。母親はその子を抱き、乳を飲ませ、世界のどの母親とも同じようにその子を慈しむでしょう。人間の根源であるこのような行為にはいかなる隔たりもありません。しかし今日のアフガニスタンに女の子として生を受けることは人類の一部が手にしている繁栄から何世紀も遅れた生活を始めることを意味しています。その生活条件は多くの人が非人間的と考えるものです。実際のところ、それはあたかも『二つの惑星の物語』とも言うべき状況です。」とアナン氏は述べ、さらにこのアフガニスタンの少女の話から、貧富の格差の問題、貧困が人間の尊厳を損なうものであり、国連の使命はこの人間の尊厳を守ることであると話し進めました。

省みて日本では構造改革の名の下に聖域であるべき医療、福祉、教育に手がつけられ荒廃と格差が進みました。母子家庭を中心に貧困に置かれている子どもの数が増大しています。子どもの貧困率では日本は先進国の中でとても不名誉な地位を占め、この小さな島国日本においても二つの惑星であるかのようです。このような状況で生まれてくる赤ちゃんとその家族に関わる場面が皆さんにこれからあるでしょう。新人の一助産師が持てる力は限られています。しかしこの世に生を受け誕生する瞬間にどうぞあなたたちは素晴らしい笑顔で「おめでとう、よく来てくれました。」と赤ちゃんを迎え、生き抜くエネルギーを満たしてあげてください。この日本赤十字社のミッションの基にある助産師学校で1年過ごしたあなたたちの笑顔は博愛に満ちどのような境遇の赤ちゃんにも平等であるはずです。

この過酷な周産期医療に飛び込んでくる皆様に同じ周産期医療の現場に身を置き働く者として私は希望します。赤ちゃんとおかあさんとその二人を囲む家族たちが幸せになれるようにともに努力していきましょう。
皆様のこれからのご活躍と健康をお祈りして私からのお祝いの言葉とさせていただきます。
本日はご卒業誠におめでとうございました。
(2009.3.10 日本赤十字社助産師学校卒業式)